膝・股関節痛と腰痛の治療

  1. ー手術しないで治すリハビリ。手術回避できない場合、よりよい結果を生む手術タイミングと術前リハビリー
  2. Ⅰ:変形性股関節症・変形性膝関節症で腰痛が起こるしくみについて
  3. Ⅱ:体験談とそれぞれについての解説
  4. A:股関節の手術回避例
  5. 1:K.R.さん、47歳、女性
      右寛骨臼回転骨切り術後、左股関節痛と腰痛が出現した。
  6. 2:N.T.さん、60歳、女性
      左股関節痛と腰痛が出現し近医で人工股関節置換術を勧められた。
  7. 3:変形性股関節症の手術回避・延期目的の治療のまとめ
  8. B:膝関節の手術回避例
  9. 1:M.S.さん、79歳、男性
      左膝関節痛で膝関節専門病院を受診しヒアルロン酸注入で軽快せず手術を勧められた。
  10. 2:変形性膝関節症の手術回避・延期目的の治療のまとめ
  11. 3:変形性膝関節症の手術のタイミングについてのまとめ
  12. C:手術により股関節痛と腰痛が軽快した例
  13. 1:N.T.さん、70歳、女性
      左股関節痛と腰痛で歩行困難になり初診。股関節開排が出来なくなっていた。
  14. 2:変形性股関節症の手術のタイミングについてのまとめ
  15. D:総括
  16. Ⅲ:休憩時間
  17. 自宅で気軽に8の字体操ができる運動補助装具の紹介
  18. Ⅳ:リハビリ訓練の実技講習(クリックすると動画が再生されます)

膝・股関節痛と腰痛の治療

  1. ーーー膝・股関節痛と腰痛に対する運動療法ーーー
  2. Ⅰ:<変形性股関節症とは?>
  3. 股関節痛の原因として一番多い病気で、股関節の軟骨が磨り減ることにより痛みが出現します。
  4. <股関節痛の悩み>
  5. 一度、発症するとなかなか完治しない!
    場合により進行して仕事・日常生活がきつくなる!
    じっとしていれば痛くない!しかし、完治しない。
    ひどくなれば夜間の寝返りで痛みがでて目がさめる!
  6. 程度によりいろんな症状があります。
  7. 1:痛みはどこからくるのでしょうか?
  8. 股関節の痛みを感じる部位
  9. 図1 正常股関節
    正常な股関節
  10. ★関節包・骨を覆う骨膜に痛みを感じる神経が抱負に分布しています。
     軟骨のすぐ下の骨にも神経が分布しています。
  11. ★軟骨には、痛みを感じる神経は分布していません。
  12. この神経の分布してない軟骨が磨り減って神経の豊富な骨が接触し合うことにより痛みを生じます。
  13. 2:変形性股関節症の原因と進展
  14. 最も多いのは先天性股関節脱臼や股関節の屋根部分(臼蓋:図1の寛骨臼に相当)のかぶりが不十分な臼蓋形成不全が長年放置された後に痛みが出現する二次性の変形性股関節症です(図2)。図のように体重を支える面積が正常よりも狭いために時間の経過とともに軟骨(関節のすきま)が磨り減っていきます。この進行とともに痛みの程度が増していきます。痛みが出現する年齢は、多くは中高年で発症しますが股関節脱臼や臼蓋形成不全の程度により10歳代・20歳代で出現する場合もあります。
    同じように股関節痛を生じるものに解剖学的異常(臼蓋形成不全は、ない)はないにもかかわらず股関節のクッションの役割を果たしている軟骨が磨り減っていく一次性のものがあります。これには肥満や先天性の軟骨異常が原因のことがあります。
    先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全が女性に多いので結果的には股関節痛は女性の患者さんに多い特徴があります。
  15. 図2 変形性股関節症の進展
    変形性股関節症の原因と進展
  16. このため変形性股関節症の早期の時期には痛みが軽く治療が遅れる原因になります。
  17. 早期発見・早期治療に股関節症状/チェック表をご利用ください!
  18. 【股関節症/チェック表】
    チェック① 乳幼児期に脱臼と診断されたことがある。
    チェック② 歩くとき体が左右に揺れ、膝が重い。
    チェック③ 運動した後お尻や膝が痛い。
    チェック④ 靴下がはきにくい。
    チェック⑤ 段差を上下するのが難しい。
    チェック⑥ 歩くたびに股関節が痛い。
    チェック⑦ 立ち上がりで股関節が痛い。
    チェック⑧ 足を横に広げにくい。
  19. 上記項目の内、二つ以上該当すれば専門医の受診を勧めます。
    変形性股関節症が進んでくると軟骨がなくなり神経豊富な関節包や骨膜さらに軟骨の下層の骨に炎症が及んでいき強い痛みが生じるようになります。
    前期では痛みがどこからくるかが問題になりますが、関節唇(線維性軟骨)が断裂することにより痛みが生じるようになります(図1の関節唇)。
  20. 3:<治療法><保存的療法>
  21. ★運動療法:股関節支持筋の筋力を強化し股関節への負担を軽減させます。
  22. ①筋力増強訓練:とくに中臀筋による外転筋力増強が大事です。
    ②水中プールでの歩行訓練
  23. ①②は、変形性股関節症の早期に有効です。
    早期診断・早期治療でなるべく手術をしないで克服しましょう!
  24. 図3 従来の股関節外転訓練
    訓練1訓練2
  25. ★中臀筋の筋力増強が、変形性股関節症の除痛・進行防止に重要!従来は、上記の運動療法を行っていましたが手術の防止効果がないことや痛みが増強することがあるために、現在では下肢の上下運動をしない運動療法(ゆうきプログラムを基にした歩行バランス法による痛みのない筋力増強訓練)に変更しています。
  26. 図4 変形性股関節症の発症のしくみ
    中殿筋臼蓋形成不全
  27. ★左図の中臀筋が弱い時の場合は、変形性股関節症(臼蓋形成不全)では、右図のように臼蓋(股関節の屋根部分)のかぶりが不十分なために体重をかけると骨頭が上方に突き上げる方向に動きます。このために関節の外側の関節唇・軟骨を損傷します。これが、変形性股関節症の初期症状です。
  28. ★中臀筋を強化すると左図の正常時のように骨頭は、上方への突き上げ移動が減少し関節の内側へ押し付けられます。これにより股関節痛が減少し変形性股関節症の進行は防止され手術を避けることができます。
  29. 4:腰痛と股関節痛の関係(股関節の変形を考慮した運動訓練)
  30. 図5
    変形性股関節症の変形パターン
  31. 股関節が変形して硬くなって伸展できなくなると代償性に腰椎を前弯させることでバランスを取るようになります。腰椎すべり、腰部脊柱管狭窄症による腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である股関節の伸展制限を矯正する治療を併用しなければなりません。
  32. 「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。
  33. Ⅱ:<変形性膝関節症とは?>
  34. 膝関節痛の原因として一番多い病気で、膝関節の軟骨が磨り減ることにより痛みが出現します。
  35. <膝関節痛の悩み>
  36. 一度、発症すると正座が必要な日本では日常生活が困難になる!
    場合により進行して仕事・日常生活がきつくなる!
    じっとしていれば痛くない!しかし、完治しない。
  37. 程度によりいろんな症状があります。
  38. 1:<膝関節痛の原因>
    • 関節の中では、骨の表面はなめらかな軟骨(なんこつ)でおおわれ、そのすき間には半月板(はんげつばん)があります。関節部分は関節包(かんせつほう)でおおわれています。その内側の滑膜(かつまく)は潤滑油の役割をする関節液(かんせつえき)を分泌します。
      軟骨、半月板、そして関節液のはたらきによって、膝(ひざ)関節は非常になめらかに動くようになっています。
    • 膝関節の図解
      図6 膝関節(正面から見たところ)
  39. 【痛みはどこからくるのでしょうか?】
  40. ★膝関節の痛みを感じる部位
  41. 膝関節の図解
  42. ★関節包・骨を覆う骨膜に痛みを感じる神経が抱負に分布しています。
     軟骨のすぐ下の骨にも神経が分布しています。
  43. ★軟骨には、痛みを感じる神経は分布していません。
  44. 変形性膝関節症では、軟骨が磨り減っていき痛みを感じる骨や関節包が刺激されて痛みを生じるようになります!
    しかし、軟骨には神経が分布していないために早期の時期には痛みが軽く治療が遅れる原因になります。
  45. 図7
    変形性膝関節症の進み方と症状
  46. 一次性変形性膝関節症:関節軟骨の退行変化(加齢)に起因する。
    二次性変形性膝関節症:外傷や関節リウマチなど様々な疾患に続発するもの。
  47. ★ほとんどが、一次性で、内反型(O脚)が多く、女性に多い。
  48. 早期発見・早期治療に膝関節症状/チェック表をご利用ください!
  49. 【膝関節症/チェック表】
    チェック① たちあがり・歩きはじめに膝がこわばる。
    チェック② 坂道・階段の上り下りで違和感がある。
    チェック③ 膝に手をあてて屈伸するとゴリゴリ感じる。
    (曲げたときのポキッという音は関係ない)
    チェック④ トイレでのしゃがみ・正座・中腰がツライ。
    チェック⑤ 膝の後ろに張りを感じる。
    チェック⑥ 膝の前や後ろが腫れて熱を持つ。
    チェック⑦ 膝のお皿を押すと浮いた感じがする。
  50. 上記項目の内、二つ以上該当すれば専門医の受診を勧めます。
  51. 2:<治療法><保存的療法>
  52. ★運動療法:膝関節支持筋の筋力を強化し膝関節への負担を軽減させます。
  53. ①力増強訓練:とくに大腿四頭筋による膝の伸展力増強が大事です。
    ②水中プールでの歩行訓練
  54. ①②は、変形性膝関節症の早期に有効です。
    早期診断・早期治療でなるべく手術をしないで克服しましょう!
  55. 3:腰痛と膝関節痛の関係(膝関節の変形を考慮した運動訓練)
  56. 図8
    変形性膝関節症の変形パターン
  57. 膝関節が変形して硬くなって伸展できなくなると代償性に腰椎を後弯させることでバランスを取るようになります。腰椎後弯、腰部脊柱管狭窄症による腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である膝関節の伸展制限を矯正する治療を併用しなければなりません。
  58. 「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。
  59. Ⅲ:腰痛のタイプと股関節痛・膝痛との関係
  60. 背骨の図解
  61. 股関節の変形(5ページ、図5)では、腰椎の前弯増強
    膝関節の変形(8ページ、図8)では、腰椎の後弯増強  が起ります。
  62. 椎間板への荷重ストレスの増強により様々な腰椎疾患が発症します。
  63. 代表的な腰痛
  64. ★腰部脊柱管狭窄症
    椎間板に荷重ストレスがかかると椎間板の変性から黄色靭帯の肥厚・椎体や椎間関節が肥厚変形して脊柱管を狭くして神経を圧迫し脊柱管狭窄症を発症させます。
    • 腰部脊柱管狭窄症1
    • MRI
      腰部脊柱管狭窄症2
  65. ★膝・股関節症の変形を伴った腰痛では腰椎単独の治療(牽引・温熱・神経ブロックなど)ではよい結果は得られません。同時に膝・股関節症の変形の矯正がよい結果を生むポイントになります。
  66. Ⅳ:<手術のタイミングは?>
  67. 変形性股関節症・変形性膝関節症が進行していくと腰椎に影響を及ぼし腰痛が出現・増悪していくことがあります。
    腰痛が強くなったらたとえ手術で股関節や膝の痛みが軽くなっても残った腰痛のために歩行障害は改善されないときがあります。
    この場合は、3月間の術前リハビリの後、早急に手術することを勧めます。
  68. ★腰痛が出現し始めの軽いときは、手術により股関節痛や膝痛が軽快すると 同時に腰痛も軽快することが多いです。
  69. 歩行バランス法(ゆうきプログラム)を基にした歩行バランス法によりどうしても改善しない場合、腰痛のでる前に膝・股関節の手術を受けるのが最もよいタイミングです!
  70. ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。

K.R.さん、47歳、女性

  1. 1:経過
  2. 平成23年3月から右股関節痛が出現し整形外科専門病院で寛骨臼回転骨切り術(RAO)を受けた。術前の疼痛は軽快したが左股関節痛・腰痛が出現し平成24年10月31日に当科初診となった。
    初診時、腰痛もあった。
  3. ★歩行バランス法(ゆうきプログラム)により股関節痛・腰痛ともに軽快した。
    ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  4. 2:結果
  5. 日本整形外科学会の評価方法
  6. JOAスコア
  7. ①疼痛(0〜40点)
    ②可動域(0〜20点)

    ③歩行能力(0〜20点)
    ④日常生活動作(0〜20点)
  8. 疼痛、可動域、歩行能力、日常生活動作の合計点数で評価し
    正常は、100点で障害が強いほど点数は低くなります。
  9. K.R.さんの歩行バランス法の結果
  10. 股関節JOAスコアー:
    治療前 61点 64点
    治療開始3ヶ月後 92点 92点
  11. ★初診時の腰痛も、軽快した!
  12. 3:体験談話(ドクター林との質疑応答形式)
  13. A:当科初診時の①股関節痛による生活への障害の程度と②腰痛の程度をお聞かせください。また、③腰痛の原因と治療については当科初診前にはどのような説明がありましたでしょうか?
  14. ①の回答
    左股関節(手術をしていない足)のつけ根の鋭い痛みが、車の乗り降りなどの開脚時に時々起っていた。いつも起こるわけではなく一瞬の痛みなので生活に支障があるとは言えない程度。
  15. ②の回答
    腰の左側(ウェストからお尻の上部にかけて)のだるいような痛みがよく起こっていた。いつの間にか起こり時々強く感じまたいつの間にか軽減する。歩行時などに急にギックリ腰になったかのような強く鋭い痛みが走ることがあり少し休んで様子を伺いながらゆっくり歩きだすとなんとか歩けたということが月に1〜2回あった。
  16. ③の回答
    レントゲンでは腰の異常はなく経過観察と言われた。股関節と腰痛の関係は「特にないと思う」とのコメントだった。
  17. ★①、②が日常生活へ障害をもたらしたというほどではないが、「このままでは腰や股関節の疾患になっていくのでは!」という不安がありました。
  18. B:「歩行バランス法(ゆうきプログラム)」による運動療法を始めるにあたってこれくらいの方法でよくなるのだろうかと不安を持たれなかったでしょうか?
  19. 運動の種類が11種あり“これくらいで”というより“こんなにたくさんしないといけなのか!続けられるのか!”という不安を感じたのが正直なところです。
    しかしながら、治すためにはそれなりの努力がいるという覚悟も少し芽生えました。11種類の運動は、私のためのオーダーメイドのプログラムなので すべてが必要なのだろうと思いました。
  20. C:一人で自宅で運動療法を続ける際の問題点をお聞かせください。
  21. ●一人だとくじけたりなまけたりしがちになる。
    ●続けていくうちに最初教えていただいた通りに正しくできているのかと不安になる。
    ●症状の変化、回復などによって運動も変化するのではないかと思いますがどうなのでしょうか?これからも経過を長く追っていただき時々チェックしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
  22. ★ドクター林のコメント:
    いままでは初診から3ヵ月間でリハビリ指導は終了していました。これを改め、現在では適時再指導を行っています。再指導をご希望の方は、リハビリテーション科(窓口:春口・中庭・小谷)にお問い合わせ下さい。再指導は、一旦リウマチ・関節症センターか整形外科外来での診察後、リハビリテーション科の受診と なります。
  23. 4:初診時のレントゲン
    • レントゲン画像
    • 47歳、女性
      右:寛骨臼回転骨切り術
      左:高度臼蓋形成不全
      (変形性股関節症前期)

      一般的には左も続けて手術と言われるケースが多いようです。
  24. 5:解説
  25. 変形性股関節症の進展
    変形性股関節症の原因と進展
  26. ★前期は、臼蓋形成不全の診断名になります。手術を検討する場合は、寛骨臼回転骨切り術は、前期に、人工関節置換術は主に進行期・末期に行います。 年齢とともに右の方向に進行していきます。
  27. 前期では軟骨が残ってるのになぜ痛みがでる?
  28. 正常な股関節臼蓋形成不全
  29. 前期(臼蓋形成不全)では、右図のように臼蓋(股関節の屋根部分)のかぶりが不十分なために体重をかけると骨頭が上方に突き上げる方向に動きます。このために関節の外側の関節唇を損傷します。これが、変形性股関節症の前期の痛みです。
  30. 運動療法の原理
  31. 中殿筋臼蓋形成不全
  32. 中臀筋を強化すると左図の正常時のように骨頭は、上方への突き上げ移動が減少し関節の内側へ押し付けられます。これにより股関節痛が減少し変形性股関節症の進行は防止され手術を避けることができます。
  33. 手術療法:40〜50歳代以下
  34. 人工股関節設置術が20年の耐久性を持つようになりましたが、まだそれ以上の耐久性は保証されていません。よって、40〜50歳代以下の患者さんでは軟骨がまだ正常な内に自分の骨を使用した再建術で痛みを取る寛骨臼(臼蓋)回転骨切り術を勧めます。
  35. 臼蓋回転骨切り術のしくみ
  36. この手術は、軟骨がまだ正常に残っている段階で行い生涯にわたって人工関節手術をしないですむように予防的意味を含めて行ないます。軟骨が磨り減ってから後では、この手術では痛みは取れません。よって、手術となったらタイミングが重要になります。
    しかし、入院に2〜3ヵ月間を要し実際には子育て・仕事・親の介護などですぐには入院できないことが問題になります。歩行バランス法(ゆうきプログラム)では、この手術のタイミングを計画的に延期することを可能にします。
  37. 腰痛と股関節痛の関係
  38. 変形性股関節症の変形パターン
  39. 股関節が変形して硬くなって伸展(股関節を後ろにそる)できなくなると代償性に腰椎を前弯させることでバランスを取るようになります。腰椎すべり、腰部脊柱管狭窄症などによる腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である股関節の伸展制限を矯正する治療を併用しなければなりません。
  40. 歩行バランス法の「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。
  41. ★腰痛のタイプについては、Ⅰ:「変形性股関節症・変形性膝関節症で腰痛が起こるしくみについて」の「2:<治療法><保存的療法> から Ⅲ:腰痛のタイプと股関節痛・膝痛との関係」を参照。

N.T.さん、60歳、女性

  1. 1:経過
  2. 左股関節痛のため近医整形外科を受診したら手術(人工関節置換術)を勧められた。手術回避目的で平成24年3月14日に当科初診となった。
    初診時、腰痛もあった。
  3. ★歩行バランス法(ゆうきプログラム)により股関節痛・腰痛ともに軽快した。
    ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  4. 2:結果
  5. 日本整形外科学会の評価方法
  6. JOAスコア
  7. ①疼痛(0〜40点)
    ②可動域(0〜20点)

    ③歩行能力(0〜20点)
    ④日常生活動作(0〜20点)
  8. 疼痛、可動域、歩行能力、日常生活動作の合計点数で評価し
    正常は、100点で障害が強いほど点数は低くなります。
  9. N.T.さんの歩行バランス法の結果
  10. 股関節JOAスコアー:
    治療前 95点 71点
    治療開始3ヶ月後 100点 95点
  11. ★初診時の腰痛も、軽快した(ほぼ消失)!
  12. 3:体験談話(ドクター林との質疑応答形式)
  13. A:当科初診前に手術と言われた時の状況をお聞かせください。
    手術以外の治療はないか先生にはお尋ねになられましたでしょうか?あるいは、手術をもっと先延ばしにする方法はないかお尋ねになられましたでしょうか?
  14. 最初は腰痛で受診しました。若い頃から何度か腰痛で通院していた近くの整形外科です。レントゲンを撮り変形性腰椎症と言われ腰に痛み止めの注射と鎮痛剤の内服・湿布そしてリハビリでポットパックでの温熱療法と牽引をしばらく続け腰痛が軽くなってきた頃、今度は左の股関節に痛みがでてきました。
    その時点で股関節のレントゲンを撮り変形性股関節症と診断されました。
    手術しか方法はないと言われ私が困惑していると「非常勤で股関節専門の先生が大学からいらっしゃるのでもう一度診てもらって相談してください。」とのことでした。
    大学の先生の診断も同じで「今すぐ手術の必要性はないけど、4ヵ月に一度診察しながら痛みに耐えられなくなったら手術しましょう」との事でした。すでにかなりの痛みがあり、自宅の二階に上がるのに手をついて這って上がっている状態でしたので手術以外の方法がないかお尋ねしました。すると、「“のぞみ会”という変形性股関節症の患者さんたちで作っている筋トレサークルがあるのでインターネットで調べてごらん」と教えてくださいました。“のぞみ会”は、すぐに見つかりましたが医師がいなかったのであれこれネットを調べるうちに林先生のことを知りました。
  15. B:腰痛の原因と治療については当科初診前にはどのような説明がありましたでしょうか?股関節との関連性についての説明はあったでしょうか?
  16. 腰痛の原因と治療は、Aの通りで股関節との関連性についての説明はありませんでした。
  17. C:歩行バランス法(ゆうきプログラム)」による運動療法を始めるにあたってこれくらいの方法でよくなるのだろうかと不安を持たれなかったでしょうか?
  18. 林先生の本を読ませていただいてから和白病院を受診しましたのであまり 不安はありませんでした。今では痛みも和らぎ普通に歩けて手術も受けずに済んでいます。這って階段を上がっていたのが嘘のようです。このまま手術回避ができるように林先生のご指導のもと運動療法を頑張りたいと思います。
  19. 4:初診時のレントゲン
    • レントゲン画像
    • N.T.さん、60歳、女性
      右:変形性股関節症初期
      左:変形性股関節症進行期

      一般的にはレントゲンだけで手術と言われ「できない」と言うと「もっとひどくなってから来てください」と言って鎮痛剤投与のみになるケースが多いようです。鎮痛剤内服だけで日常生活を送ると変形性股関節症は、進行します。
  20. 5:解説
  21. 変形性股関節症の進展
    変形性股関節症の原因と進展
  22. ★前期は、臼蓋形成不全の診断名になります。手術を検討する場合は、寛骨臼回転骨切り術は、前期に、人工関節置換術は主に進行期・末期に行います。 年齢とともに右の方向に進行していきます。
  23. 運動療法の原理
  24. 中殿筋臼蓋形成不全
  25. 中臀筋を強化すると左図の正常時のように骨頭は、上方への突き上げ移動が減少し関節の内側へ押し付けられます。これにより股関節痛が減少し変形性股関節症の進行は防止され手術を避けることができます。
  26. <手術療法:60歳以上および60歳以下でも軟骨が磨り減った場合>
    人工股関節は、金属・ポリエチレンの改良、セラミックの導入で20年間の耐久性を有するようになりそれ以上の耐久性が期待されています。従来の「10年しかもたない」といわれていた頃と違い最近では人工股関節手術後に軽いスポーツも勧めています(ゴルフ・自転車・グランドゴルフ)。
  27. 人工股関節手術のしくみ
  28. <ドクター林の勧める手術のタイミング>
  29. 1:歩行バランス法を行っても改善が見られない
  30. 股関節開脚角度が25°以下の場合は、歩行バランス法での改善の可能性は低いです
    (下記の「歩行バランス法の適応外」を参照してください)
  31. 2:夜間痛や寝返り痛が続く
  32. 3:15分以上歩けない
  33. 4:上記1~3を満たす方で、腰痛の訴えがある場合
  34. 以上の条件がそろったら、早期の手術を勧めます。
  35. いたずらに手術を先延ばしにすると反対側の股関節・膝関節・腰に負担がかかってこれらを痛めます。よって、いよいよになって股関節を手術しても他の関節の痛みのために歩行困難が続きます。
  36. 特に腰痛が強くなったらたとえ手術で股関節の痛みが軽くなっても残った腰痛のために歩行障害は改善されないときがあります。この場合は、3月間の術前リハビリの後、早急に手術することを勧めます。
  37. ★腰痛が出現し始めの軽いときは、手術により股関節痛が軽快すると同時に腰痛も軽快することが多いです。
  38. 手術のタイミング決定には、股関節のみではなく腰・膝・足関節を含めた下肢全体の総合評価が重要です!
  39. ★人工関節置換術の場合は、上記のタイミングで手術を検討しますが、臼蓋(寛骨臼)回転骨切り術は人工関節置換術を予防する目的を含みますので痛みが上記より軽い段階で手術を検討することがあります。
  40. 歩行バランス法の適応外
  41. 歩行バランス法の適応外
  42. ★股関節開脚角度が25°以下の場合は、歩行バランス法での改善の可能性は低いです(上図①)。さらに腰痛がある場合(上図④)は早期の手術を進めます。Ⅰ:変形性股関節症・変形性性膝関節症で腰痛が起こるしくみについてをご覧ください。体験談C:手術により股関節痛と腰痛が軽快した例を参照してください。
  43. 腰痛と股関節痛の関係
  44. 変形性股関節症の変形パターン
  45. 股関節が変形して硬くなって伸展(股関節を後ろにそる)できなくなると代償性に腰椎を前弯させることでバランスを取るようになります。腰椎すべり、腰部脊柱管狭窄症などによる腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である股関節の伸展制限を改善する治療を併用しなければなりません。
  46. 歩行バランス法の「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。
  47. ★腰痛のタイプについては、Ⅰ:「変形性股関節症・変形性膝関節症で腰痛が起こるしくみについて」の「2:<治療法><保存的療法> から Ⅲ:腰痛のタイプと股関節痛・膝痛との関係」を参照。

変形性股関節症の手術回避・延期目的の治療のまとめ

  1. 1:手術と言われてもタイミングがよければ(股関節開脚角度が30°以上できれば40°以上、腰痛はないかあっても軽度)歩行バランス法(ゆうきプログラム)で歩行を改善させることができる。
  2. 2:変形性股関節症が進行して股関節の可動域制限が起こると腰への荷重ストレスが増大し腰痛を生じる。
  3. 3:タイミングがよければ歩行バランス法(ゆうきプログラム)で股関節痛のみならず腰痛も改善させることができる。
  4. ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。

M.S.さん、79歳、男性

  1. 1:経過
  2. 平成18年右膝痛が出現し、整形外科の膝専門病院を受診。ヒアルロン酸注入を受けたが軽快せず手術を勧められた。その後、右膝痛は軽快し、H25年に入り左膝痛が出現したため、平成25年3月13日に当科初診となった。
    初診時、腰痛はなかった。
  3. ★歩行バランス法(ゆうきプログラム)により、膝痛は軽快した。
    ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり、内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  4. 2:結果
  5. 日本整形外科学会の評価方法
  6. JOAスコア
  7. ①疼痛・歩行能力(0〜30点)
    ②疼痛・階段昇降能力(0〜25点)
    ③可動域 (0〜35点)
    ④腫脹  (0〜10点)
  8. 疼痛、歩行能力,階段昇降能力,可動域、膝の腫脹の程度の合計点数で
    評価し正常は、100点で障害が強いほど点数は低くなります。
  9. 歩行バランス法の結果
  10. JOAスコアー(膝):
    治療前 90点 85点
    治療開始3ヶ月後 100点 95点
  11. ★初診時の左膝痛は、消失した。
    腰痛の発生を防止できた!
  12. 3:体験談話(ドクター林との質疑応答形式)
  13. A:当科初診の7年前、他の病院で手術を勧められて受けられませんでしたが当時の右膝の状況をお知らせください。それと、手術を受けられなかった理由をお聞かせください。
  14. 右膝は、水がたまり押えるとブヨブヨしていました。水は、2週間ぐらいで ひき又たまるを1年間くらい繰り返していました。
    じっとしてるといけないと思い少しづつ歩くようにしてどうにか痛まないようになりました。
    手術を受けなかった最大の理由は、もし手術がうまく行かず車椅子の生活になったら・・・そんな心配がありました。その上、仕事の面で三つの登録組合の仕事をしていた関係で休まれない状態でした。仕事の内容は、経理から掃除まで全部一人でやっていたのでとても長い間休むわけにはいかない状態でした。
  15. B:「歩行バランス法(ゆうきプログラム)」による運動療法を始めるにあたってこれくらいの方法でよくなるのだろうかと不安を持たれなかったでしょうか?
  16. 性格にもよると思いますが、自分がかかった先生の言うことを聞かないでどうしますか。先生に診てもらうということはまかせたも同じ。又、運動療法をやっていくたび歩けるようになり痛みも減ってくるので自信にもなりました。
  17. C:3ヵ月以上運動療法が続いた原動力は何でしょうか?それと、現在の状態をお聞かせください。また、一人で自宅で運動療法を続ける際の問題点をお聞かせください。
  18. Bにも書きましたが先生が決められたことを患者が守らなければどうしようもないしその病院に行く資格もないと思います。
    永く続けることはそれをやることにより少しづつですが痛みが少なくなるし、本人のやる気以外ほかにないと思います。
  19. 4:初診時のレントゲン
    • レントゲン画像
    • 79歳、男性
      左変形性膝関節症:進行期

      一般的にはヒアルロン酸注入・足底版療法・電気治療などをして軽快しなければ手術と言われるケースが多いようです。運動療法は、大腿四頭筋訓練のみが多いようですが大腿四頭筋訓練のみでは変形性膝関節症は改善されないことが多いです。
  20. 5:解説
  21. 変形性膝関節症の進み方と症状
  22. 一次性変形性膝関節症:関節軟骨の退行変化(加齢)に起因する。
    二次性変形性膝関節症:外傷や関節リウマチなど様々な疾患に続発  するもの。
  23. ★ほとんどが、一次性で、内反型(O脚)が多く、女性に多い。
  24. 【症状を増悪させる原因】
  25. 1.老化による筋力の低下
    2.体重の増加
    3.女性ホルモンの影響
    4.外傷の影響
  26. 【痛みはどこからくるのでしょうか?】
  27. ★膝関節の痛みを感じる部位(図の正常な膝関節参照)
    ★関節包・骨を覆う骨膜に痛みを感じる神経が抱負に分布しています。
     軟骨のすぐ下の骨にも神経が分布しています。
  28. 膝関節の図解
  29. ★軟骨には、痛みを感じる神経は分布していません。
  30. 変形性膝関節症では、軟骨が磨り減っていき痛みを感じる骨や関節包が刺激されて痛みを生じるようになります!
    しかし、軟骨には神経が分布していないために早期の時期には痛みが軽く治療が遅れる原因になります。
  31. 早期発見・早期治療に膝関節症状/チェック表をご利用ください!
  32. 【膝関節症/チェック表】
    チェック① たちあがり・歩きはじめに膝がこわばる。
    チェック② 坂道・階段の上り下りで違和感がある。
    チェック③ 膝に手をあてて屈伸するとゴリゴリ感じる。
    (曲げたときのポキッという音は関係ない)
    チェック④ トイレでのしゃがみ・正座・中腰がツライ。
    チェック⑤ 膝の後ろに張りを感じる。
    チェック⑥ 膝の前や後ろが腫れて熱を持つ。
    チェック⑦ 膝のお皿を押すと浮いた感じがする。
  33. 変形性膝関節症が進んでくると軟骨がなくなり神経豊富な関節包や骨膜さらに軟骨の下層の骨に炎症が及んでいき強い痛みが生じるようになります。
  34. 腰痛と膝関節痛の関係
  35. 変形性膝関節症の変形パターン
  36. 膝関節が変形して硬くなって伸展できなくなると代償性に腰椎を後弯させることでバランスを取るようになります。腰椎後弯、腰部脊柱管狭窄症などによる腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく、原因である膝関節の伸展制限を改善する治療を併用しなければなりません。
  37. 「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。また、アキレス腱が短縮して足関節の背屈制限(そらすことができない)が起こると膝の伸展制限の増強・腰椎後弯の増強を起こし膝痛・腰痛を増強させます。よって、アキレス腱短縮の改善も重要になります。
  38. ★腰痛のタイプについては、Ⅰ:「変形性股関節症・変形性膝関節症で腰痛が起こるしくみについて」の「2:<治療法><保存的療法> から Ⅲ:腰痛のタイプと股関節痛・膝痛との関係」を参照。
  39. 歩行バランス法による左膝の変化
  40. 初診時 治療開始3ヵ月後
    膝伸展 -10°
    屈曲 140° 140°
    アキレス腱拘縮 (+) (ー)
  41. ★歩行バランス法によりアキレス腱拘縮(アキレス腱が短縮し足関節の背屈制限がある)を改善し、膝の伸展制限がなくなったことで膝痛が改善し手術を回避できた要因と言えます。結果として腰痛の発生を防止できたと思われます。

変形性膝関節症の手術回避・延期目的の治療のまとめ

  1. 1:手術と言われてもタイミングがよければ(膝伸展制限が10°以内、腰痛はないかあっても軽度)歩行バランス法(ゆうきプログラム)で歩行を改善させることができる。
  2. 2:変形性膝関節症が進行して膝関節の可動域制限(伸展制限)が起こると腰への荷重ストレスが増大し腰痛を生じる。
  3. 3:タイミングがよければ歩行バランス法(ゆうきプログラム)で膝関節痛のみならず腰痛も改善させることができる。
  4. ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。

変形性膝関節症の手術のタイミングについてのまとめ

  1. 1:膝関節の伸展制限が15°以上の場合は、歩行バランス法(ゆうきプログラム)での膝関節痛の改善の可能性は低い。
  2. 2:1の上に腰痛がある場合は、腰痛が増強してから膝関節の手術をしても腰痛が残って歩行障害が残る可能性がある。
  3. 3:1の場合、腰痛が軽い時に膝関節の手術をすれば膝関節痛だけでなく腰痛も軽快する可能性が高い。できれば腰痛が出現する前の膝関節の手術が望ましい。また、アキレス腱の短縮を術前リハビリで改善させる必要がある。
  4. ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  5. ★術後の肺塞栓症について(エコノミー症候群)
  6. 術後の安静期間に起こる下肢深部静脈血栓症から起こる肺塞栓症は、心肺停止に至る重篤な合併症でエコノミー症候群としても知られています(海外旅行など長時間の飛行機旅行でエコノミークラスに座り足を動かさないでいると血栓が起こりやすくなることからエコノミー症候群として知られるようになりました。)術後の下肢深部静脈血栓症の最高リスク群である人工関節置換術では、人工股関節置換術(THA)で27.3%,人工膝関節置換術(TKA)で50.5%の発生頻度が知られており、その中で肺塞栓症に至る発生頻度はTHAで0.7%,TKAで1.1%と報告されています。
    当科では、現在行われている予防対策(弾性ストッキング着用、フットポンプの使用、足関節の屈伸運動)を行った上、循環器、臨床検査科の協力で手術日手術終了直後、手術1・3・10日後に下肢エコー検査を行い下肢深部静脈血栓症の早期発見・早期治療を行っています。この24時間対応による循環器との共同診療の結果、現在までに問題になった例は経験していません。

N.T.さん、70歳、女性

  1. 1:経過
  2. H21年頃、誘因なく左股関節痛が出現した。歩行困難になり近医整形外科を受診したらひどくなったら手術と言われた。手術回避希望で平成23年3月3日に当科初診となった。初診時、腰痛があった。
    左股関節の開排ができなくなっていたため歩行バランス法による改善の可能性が低いため腰痛増強防止を含めて早期の手術を勧めた。
    手術回避の希望で歩行バランス法を開始したが1月後に早期の手術を希望されH24年4月21日左人工股関節置換術(THA)を行った。
  3. ★手術により股関節痛・腰痛ともに軽快した(ほぼ消失した)。
    ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり、内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  4. 2:結果
  5. 日本整形外科学会の評価方法
  6. JOAスコア
  7. ①疼痛(0〜40点)
    ②可動域(0〜20点)

    ③歩行能力(0〜20点)
    ④日常生活動作(0〜20点)
  8. 疼痛、可動域、歩行能力、日常生活動作の合計点数で評価し
    正常は、100点で障害が強いほど点数は低くなります。
  9. N.T.さん歩行バランス法の結果
  10. 股関節JOAスコアー:
    治療前 81点 53点
    手術後6ヶ月後 84点 84点
  11. ★初診時の腰痛も、軽快した(ほぼ消失した)!
  12. 3:体験談話(ドクター林との質疑応答形式)
  13. A:当科初診前の病院では股関節痛と腰痛についてどのような説明があったでしょうか?
  14. 2ヵ所の病院で診察して頂きました。最初の病院では左股関節だけのレントゲンで手術しか方法は無いと言われました。次の病院では2回(初診と1ヵ月後)診察に行き下半身レントゲンを取って2度目の診察の時に「痛くなったら来るように」と痛み止めを処方されました。
  15. ドクター林のコメント:股関節痛と腰痛についての説明はなかったようです ね。
  16. B:手術前と後の股関節痛と腰痛の変化についてお聞かせください。また、手術によって日常生活がどれくらいしやすくなったかについてお聞かせください。
  17. 手術前:股関節痛・腰痛・膝痛(ゴムまりのように腫れ)いずれも湿布が手放せず今思えば湿布は唯の気休めに過ぎなかったと思います。特に股関節痛については、物につまずいた時の痛みは経験した人にしか分からないと!!
  18. 手術後:日々の生活で動作に制限はありますがごく普通の生活が出来て何ら支障はありません。全ての痛みから解放された事は唯喜びの一言です!!
  19. 4:初診時のレントゲン
    • レントゲン画像1
    • 70歳、女性
      右:正常
      左:進行期の変形性股関節症

      左股関節の開きが25°以下であったため歩行バランス法での改善の可能性は低いと判断された。
    • レントゲン画像2
    • 人工股関節置換術により左股関節痛。腰痛ともに軽快した(ほぼ消失した)。
  20. 5:解説
  21. 変形性股関節症の進展
    変形性股関節症の原因と進展
  22. ★前期は、臼蓋形成不全の診断名になります。手術を検討する場合は、寛骨臼回転骨切り術は、前期に、人工関節置換術は主に進行期・末期に行います。年齢とともに右の方向に進行していきます。
  23. 腰痛と股関節痛の関係
  24. 変形性股関節症の変形パターン
  25. 股関節が変形して硬くなって伸展(股関節を後ろにそる)できなくなると代償性に腰椎を前弯させることでバランスを取るようになります。腰椎すべり、腰部脊柱管狭窄症などによる腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である股関節の伸展制限を改善する治療を併用しなければなりません。
  26. 歩行バランス法の「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。
  27. ★腰痛のタイプについては、Ⅰ:「変形性股関節症・変形性膝関節症で腰痛が起こるしくみについて」の「2:<治療法><保存的療法> から Ⅲ:腰痛のタイプと股関節痛・膝痛との関係」を参照。
  28. <手術療法:60歳以上および60歳以下でも軟骨が磨り減った場合>
  29. 人工股関節は、金属・ポリエチレンの改良、セラミックの導入で20年間の耐久性を有するようになりそれ以上の耐久性が期待されています。従来の「10年しかもたない」といわれていた頃と違い最近では人工股関節手術後に軽いスポーツも勧めています(ゴルフ・自転車・グランドゴルフ)。
  30. 人工股関節手術のしくみ
  31. <ドクター林の勧める手術のタイミング>
  32. 1:歩行バランス法を行っても改善が見られない
  33. 股関節開脚角度が25°以下の場合は、歩行バランス法での改善の可能性は低いです
    (下記の「歩行バランス法の適応外」を参照してください)
  34. 2:夜間痛や寝返り痛が続く
  35. 3:15分以上歩けない
  36. 4:上記1~3を満たす方で、腰痛の訴えがある場合
  37. 以上の条件がそろったら、早期の手術を勧めます。
  38. いたずらに手術を先延ばしにすると反対側の股関節・膝関節・腰に負担がかかってこれらを痛めます。よって、いよいよになって股関節を手術しても他の関節の痛みのために歩行困難が続きます。
  39. 特に腰痛が強くなったらたとえ手術で股関節の痛みが軽くなっても残った腰痛のために歩行障害は改善されないときがあります。この場合は、3月間の術前リハビリの後、早急に手術することを勧めます。
  40. ★腰痛が出現し始めの軽いときは、手術により股関節痛が軽快すると同時に腰痛も軽快することが多いです。
  41. 手術のタイミング決定には、股関節のみではなく腰・膝・足関節を含めた下肢全体の総合評価が重要です!
  42. ★人工関節置換術の場合は、上記のタイミングで手術を検討しますが、臼蓋(寛骨臼)回転骨切り術は人工関節置換術を予防する目的を含みますので痛みが上記より軽い段階で手術を検討することがあります。
  43. 歩行バランス法の適応外
  44. 歩行バランス法の適応外
  45. ★股関節開脚角度が25°以下の場合は、歩行バランス法での改善の可能性は低いです(上図①)。さらに腰痛がある場合(上図④)は早期の手術を進めます。Ⅰ:変形性股関節症・変形性性膝関節症で腰痛が起こるしくみについてをご覧ください。
  46. ★術後の肺塞栓症について(エコノミー症候群)
  47. 術後の安静期間に起こる下肢深部静脈血栓症から起こる肺塞栓症は、心肺停止に至る重篤な合併症でエコノミー症候群としても知られています(海外旅行など長時間の飛行機旅行でエコノミークラスに座り足を動かさないでいると血栓が起こりやすくなることからエコノミー症候群として知られるようになりました。)術後の下肢深部静脈血栓症の最高リスク群である人工関節置換術では、人工股関節置換術(THA)で27.3%,人工膝関節置換術(TKA)で50.5%の発生頻度が知られており、その中で肺塞栓症に至る発生頻度はTHAで0.7%,TKAで1.1%と報告されています。
    当科では、現在行われている予防対策(弾性ストッキング着用、フットポンプの使用、足関節の屈伸運動)を行った上、循環器、臨床検査科の協力で手術日手術終了直後、手術1・3・10日後に下肢エコー検査を行い下肢深部静脈血栓症の早期発見・早期治療を行っています。この24時間対応による循環器との共同診療の結果、現在までに問題になった例は経験していません。

変形性股関節症の手術のタイミングについてのまとめ

  1. 1:股関節の開きが25°以下の場合は、歩行バランス法(ゆうきプ ログラム)での股関節痛の改善の可能性は低い。
  2. 2:1の上に腰痛がある場合は、腰痛が増強してから股関節の手術をしても腰痛が残って歩行障害が残る可能性がある。
  3. 3:1の場合、腰痛が軽い時に股関節の手術をすれば股関節痛だけでなく腰痛も軽快する可能性が高い。できれば腰痛が出現する前の股関節の手術が望ましい。また、アキレス腱の短縮や変形性膝関節症による膝の伸展制限や術前リハビリで改善させる必要がある。
  4. ★「歩行バランス法」とは「ゆうきプログラム」の機能メカニズムを表現した別称であり内容は「ゆうきプログラム」の一部です。
  5. ★術後の肺塞栓症について(エコノミー症候群)
  6. 術後の安静期間に起こる下肢深部静脈血栓症から起こる肺塞栓症は、心肺停止に至る重篤な合併症でエコノミー症候群としても知られています(海外旅行など長時間の飛行機旅行でエコノミークラスに座り足を動かさないでいると血栓が起こりやすくなることからエコノミー症候群として知られるようになりました。)術後の下肢深部静脈血栓症の最高リスク群である人工関節置換術では、人工股関節置換術(THA)で27.3%,人工膝関節置換術(TKA)で50.5%の発生頻度が知られており、その中で肺塞栓症に至る発生頻度はTHAで0.7%,TKAで1.1%と報告されています。
    当科では、現在行われている予防対策(弾性ストッキング着用、フットポンプの使用、足関節の屈伸運動)を行った上、循環器、臨床検査科の協力で手術日手術終了直後、手術1・3・10日後に下肢エコー検査を行い下肢深部静脈血栓症の早期発見・早期治療を行っています。この24時間対応による循環器との共同診療の結果、現在までに問題になった例は経験していません。

総括
(変形性膝・股関節症と腰痛が合併する場合)

  1. 1:変形性膝・股関節症の進行により腰痛は増強する。
  2. 2:膝・股関節の変形矯正の治療を腰痛治療と同時に行う必要がある。
  3. 3:腰痛単独の治療(牽引、温熱、ブロック、鎮痛剤内服など)では、よい結果は得られない。